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遺言書があっても相続トラブルが起こるケースと対処法を解説
「遺言書さえあれば相続はスムーズに進む」と思われがちですが、現実には遺言書があっても相続トラブルに発展するケースは少なくありません。
内容が曖昧だったり、一部の相続人が納得していなかったりすると、手続きが進まないリスクがあります。
今回は、遺言書があってもトラブルになる代表的なケースと、その対処法について分かりやすく解説します。
遺言書があっても相続争いになる代表的なケース
遺言書があっても相続争いになるケースとして、主に以下の4つがあります。
- 遺留分を侵害している
- 遺言の形式に不備がある
- 遺言能力が疑われている
- 相続人の間で認識が異なる
それぞれ確認していきましょう。
遺留分を侵害している
遺言書の内容が、特定の法定相続人の「遺留分(最低限の取り分)」を無視している場合があります。
相続人は、遺留分侵害額請求という法的手段を使って、最低限の取り分を取り戻せます。
【具体例】
①「全財産を内縁の妻に」といった遺言があった場合でも、子どもがいれば、その子には遺留分を請求する権利がある
②「長男に全財産を相続させる」といった遺言があった場合でも、他の相続人(次男や長女など)がいれば、そのひとたちには遺留分を請求する権利がある
被相続人の兄弟姉妹は、相続人にはなれますが、遺留分が認められていないため注意が必要です。
遺言の形式に不備がある
遺言の形式は、民法によって定められています。
たとえば自筆証書遺言は、細かい形式要件(全文自筆、作成日付の記載、署名、押印など)を満たしていないと無効になる可能性があるため注意してください。
遺言能力が疑われる
遺言書が作成された当時、被相続人が認知症や判断能力の低下などで正常な判断ができなかったと主張されるケースです。
上記の場合、遺言の効力自体が争われることになり、裁判に発展する可能性もあります。
相続人の間で認識が異なる
遺言の文言が曖昧だと、相続人ごとに「自分の取り分はこうだ」と解釈が分かれるケースがあります。
不動産や事業承継に関わる内容であれば、さらに争いが複雑になる可能性があるため、このあたりを事前に明確化するのが重要です。
遺言書トラブルを防ぐためにできること
形式の不備や偽造などの疑いを避けるには、公証人が作成・保管する「公正証書遺言」を選ぶのがおすすめです。
また、遺言書の存在や内容を生前に家族へ説明するのも、トラブルの予防に役立ちます。
それから弁護士など、専門性のある第三者が間に入るだけでも、相続を進めやすくなります。
まとめ
遺言書は、相続トラブルを防ぐための強力なツールですが、かえって争いの火種となることもあります。
トラブルを避けるには、公正証書遺言の利用や遺留分への配慮をするだけでなく、弁護士など法律の専門家への相談もおすすめです。
万一、トラブルが起きた場合も、納得できる解決を目指しましょう。